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第33話 屈強な冒険者のパーティ

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-09-18 06:00:00

 途中で部屋を二人で抜け出すと、エドウィンがやってきた。

「配慮不足で……すみません」と謝罪をして気まずそうに言葉をつまらせていた。

 その仕草だけで察しが付く。

「それで、どこへ向かえば良いんだ?」とエドウィンに聞いた。

「……すみません……こちらでお待ちです」とエドウィンが申し訳さそうに答え、応接室へ案内をされた。

 応接室に入ると、ニコッと笑顔の王子がソファーに座って待っていた。

「エリー姉っ! わぁ……エリー姉だっ! ビックリしたよぉ〜」とレオが満面の笑みで立ち上がり、エリーの手を握ってきた。

「……レオくん、久しぶりですね」とエリーが照れて恥ずかしそうに照れ笑いをしていた。

「さっきは……ごめんなさい。えっと……ユウさん? うぅ~ん……ユウ兄だね♪」と俺とエリーを見ながら微笑んで言ってきた。

「えっと……どうして、兄なの? レオくん」とエリーが聞いた。

「えーそりゃー分かるよぉー誰だってぇ♪ エリー姉がデレデレしちゃってるんだもんっ」と頰を赤くさせて言ってきた。

「ううぅ……レオくんのばかぁ……」とエリーも顔を赤くさせた。

「えへへ。ボクのお兄さんになるんでしょ? だからユウ兄♪」と嬉しそうに言ってきた。

「……そ、そうですね……」エリーが恥ずかしそうに答え、俺の腕に顔を押し付けて顔を隠した。

「そうそうーボク、レオニールだよ。よろしくね。ユウ兄っ」とニコッと笑顔で言ってきた。

 話していると、ウワサのことを聞いた。

 猛獣を一人で討伐をしているということや、王国内の最強の冒険者を倒したというウワサなどが冒険者の中で広がっているらしい。エドウィンを見ると首を振っていて
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